秘書検定インタビュー[大学編]
大学で取り組む秘書検定
秘書検定で社会人への一歩を進める
共愛学園前橋国際大学(群馬県前橋市)
インターンシップに赴く前に, 秘書検定で基礎的なマナーを学ぶ
入試広報・就職部の部長でありキャリアセンター長でもある鈴木京子氏
共愛学園前橋国際大学は国際社会学部 国際社会学科のみの単科大学だ。約1200人の学生が「英語コミュニケーション」「国際」「情報・経営」「心理・人間文化」「児童教育」の5コースで学んでいる。
同大では地域の発展を担う人を育てることを目指してきたことから,学生のほとんどが県内出身者であり,卒業後も多くが県内の企業や自治体などで活躍している。
「本学では在学中から学生が地域の人々や企業,自治体と関わって活動する機会を数多く設けています。その中でさまざまな年代の人との接し方などを学び身に付けてもらいたいと考えています」と話すのは,キャリアセンターの鈴木京子センター長だ。山間部に出向き地域の人々の「孫」として雪かきをしたり伝統料理の作り方を学んだり,市内の商店街と共同してイベントを行ったりと,地域社会に溶け込み活動する中で発言力や実践力を鍛えていくのだという。
インターンシップにも力を入れており,10日ほど実習を行う「インターンシップ」と約4カ月にわたり実習を行う「長期インターンシップ」が科目として設定されている。
「『インターンシップ』では事前指導の中で秘書検定を取り入れています。大人の社会で求められる立ち居振る舞いを理解してもらうために実施しており,受講した学生は3級か2級を受験します。指導は外部講師の先生にお願いしていますが,敬語の使い方や電話の応対,メールの書き方などは,一つ一つなぜそうする必要があるのか説明してくださるので学生は理解しやすいようです」(鈴木センター長)。
社会人として求められるマナーを 自主的に学び,身に付ける
(左から)心理・人間文化コース1年生の高橋沙季さん,国際コース3年生の田村彩さん
同大では,履修科目外で,自主的に秘書検定に取り組む学生も多い。
田村彩さんは,3年生の11月に秘書検定2級に合格した。挑戦のきっかけは2年生の後期に長期インターンシップに参加したことだと振り返る。
「地域活性化に関心があり市役所で実習を行ったのですが,周囲の方々とコミュニケーションをとる際に自分の未熟さを痛感しました。事前指導でもあいさつやお辞儀,敬語などは学んでいたのですが,知識として覚えただけになってしまっていたのです。大人として恥ずかしくない振る舞いや言葉遣いができるようになりたいと思い,勉強しました」(田村さん)。
就職活動を進める中で,特に役に立っているのは電話応対の仕方だ。企業の方からの電話を受けたり,折り返しかけたりするときにも慌てずにできていると笑顔を見せる。
「上司の指示を仰ぐべきことか,自分の判断で進めるのかといった仕事の進め方については判断が難しく,ここは自分の課題。自分なりの解答を考えながら設問を読み,解答を読むことで少しずつ理解を深めることができたように思います。課題が見つかったことで,もっと勉強したいという気持ちになりました」(田村さん)。
高橋沙季さんはまだ1年生ながら,秘書検定の内容は大人としていずれ役に立つことばかりだと知り,早いうちに学んでおきたいと2級を受験した。
「勉強は過去問題よりも参考書で,なぜそうなるのか,考え方から理解するようにしました。会社での仕事の仕方は知らないことばかりでしたが,学んでよかったです。文書の書き方などは,社会人になったら役立つことだと思いました。すぐに実行できたのは,目上の人と話すときの正しい言葉遣いです。クッション言葉も繰り返し声に出して覚えました。アルバイト先が,学んだことを実践してみるよい場になっています」(高橋さん)。
敬語はまだまだ難しく,もっと知識を深めて迷いなく使えるようになりたいと,高橋さんは今後の目標を語る。
二人とも,学生のうちに上位級にチャレンジしたいと意欲的だ。
「まだ就職活動までには時間がありますが,先生にメールを送るときに,必ず書くべきことの確認や文面での敬語など,勉強したことが生きています。卒業までに学んだことを忘れず,上位級や他の検定にもチャレンジしたいです」(高橋さん)。
「自分なりにどこがまだ未熟か,課題を見出すことができました。上司やお客さまとの関係の築き方は,就職してからもすぐに役立つこと。いろんな立場の人とうまくコミュニケーションがとれるように,もっと勉強したいです」田村さん)。